憧れの新しいキッチン。使いにくくなっては本末転倒です。本記事では、キッチンを使いやすくするための注意点をご紹介します。新築時、リフォーム時にぜひご参考ください。

使い勝手のいいキッチンの通路幅と高さ目安

使いやすいキッチンにするためには通路幅とキッチンの高さや寸法が重要です。

キッチンの通路幅は1人で利用するならば90㎝程度2人で利用することを考えている場合は1m20㎝の幅を確保することを推奨します。

またキッチンの高さはキッチンを最もよく利用する方の身長で計算するとよいでしょう。最適なキッチンの高さは「身長÷2+5㎝」が目安になります。

使いやすいキッチンレイアウトの基本

使いやすいレイアウトのポイントは、【冷蔵庫から食材を取り出す→食材を洗う→刻んで加熱調理→配膳する】という一連「調理の流れ」を意識した配置と、「キッチン内の動線」を意識することです。キッチン内の動線が悪いと使い勝手が悪く、効率的に家事を行うことが出来ません。使いやすいキッチンにするためにも、まずはキッチンの種類を知ることからはじめましょう!

◆キッチンの種類

《I型キッチン(対面キッチンタイプ)》

一般的な住宅でよく使われているタイプでコンロからシンクまでが横一直線に並んでいるキッチン。キッチン前にカウンター(腰壁)ができるので、セミオープンキッチンとも呼ばれます。

メリット
■リビングダイニングを見渡せつつも、手元を隠すことができる
■リビングやダイニングでくつろぐ家族とのコミュニケーションがとりやすい
■腰壁部分にコンセントを付ければ、ミキサーなど電源のいる物を調理で使う時に便利
■カウンターを通しての料理の配膳・片付けがスムーズ

デメリット
■料理の臭いがリビング全体に広がりやすい

《I型キッチン(壁付きキッチンタイプ)》

壁に向かって作業をするキッチン。ダイニングやリビングでいる家族とコミュニケーションがとりやすい対面タイプのキッチンが人気ですが、壁付けキッチンもまだまだ根強い人気があります。

メリット
■空間スペースを広く使える
■後ろにダイニングテーブルを置けば配膳が楽で動線がコンパクトに
■窓枠に調味料や小物を置ける
■料理に集中できる

デメリット
■食器棚や家電置き場が難しい
■キッチンが丸見え
■料理をしながらTVをみたり家族との会話がしにくい
■料理の臭いがリビング全体に広がりやすい

《I型キッチン(独立キッチンタイプ)》

壁付けキッチンの場合、独立型のキッチンにするという方法もあります。

メリット
■料理のニオイや水廻りの音がリビングなどに届きにくく、リビングの快適性を上げる
■簡易扉をつければ小さなお子さんがキッチンに近づかないように防げられる
■リビングやダイニングとのバランスを考えず好きなものを好きなように置ける
■来客時もキッチンの中を見られない

デメリット
キッチン内の換気や採光を意識しておかないとニオイがこもりがちで暗い雰囲気のキッチンになってしまう
■コミュニケーションがとりにくい
■料理の配膳片付けの動線が長くなる

《アイランドキッチン》

アイランドキッチンは、キッチンと壁が接する部分がなくキッチン廻りをぐるぐるまわれるようになっているタイプのキッチンのことをいいます。圧倒的な開放感で、おしゃれなデザインも多く家の雰囲気に合わせてこだわりのシステムキッチンをいれると上級グレードのオシャレな空間を演出することができます。キッチンのデザイン性にこだわる方にピッタリなタイプです。

メリット
■開放感がある
■大勢で料理がしやすい
■リビングやダイニングでくつろぐ家族とのコミュニケーションがとりやすい
■オシャレなキッチンが多い
■料理をしながら自由に最短距離で移動でき、移動の自由が広がり便利

デメリット
■広いスペースが必要
■キッチンが丸見えになるので、お手入れを怠ると片付け忘れてしまった物や汚れが丸見えに
■油はねや料理の臭いがリビング全体に広がりやすい
■収納スペースが少ない
■価格が高い

ペニンシュラキッチン

ペニンシュラキッチンとはアイランドキッチンの左右どちらかが壁にくっついた対面キッチンの事を言います。ペニンシュラキッチンはコンロの横に壁があるのでアイランドキッチンよりも油汚れに強いという特徴を持ちつつ、アイランドキッチンの持つ開放感や作業スペースの広さも持ち合わせています。オープンキッチンにしたい人におすすめのキッチンです。

メリット
■開放感がある
■アイランドキッチンと比べて間取りの制約を受けない

デメリット
■キッチンが丸見えになるので、お手入れを怠ると片付け忘れてしまった物や汚れが丸見えに
■料理の臭いがリビング全体に広がりやすい

《L型キッチン(対面キッチンタイプ)》

L字型にまげたキッチンタイプ。L型キッチンはI型キッチンよりも大きいので存在感があります。広いスペースで効率的に料理をしたい場合はL型キッチンは最適!料理が好きな方はL型キッチンを選ばれることが多いです。

メリット
■作業スペースが広くとれる
■キッチンがL字型になっているので移動が楽

デメリット
■コーナー部分がデッドスペースとなり収納として使いにくい
■キッチンにある程度の広さが必要。L型キッチンにしたためにダイニングやリビングがかなり狭くなってしまうことにならないように注意が必要。

使いやすいキッチンにするための冷蔵庫の配置について

キッチンを使いやすくするために冷蔵庫の配置もとっても重要!冷蔵庫の配置によって、キッチンの使い勝手は大きく左右されます。

冷蔵庫の配置パターン

◆キッチンの入り口付近に冷蔵庫を配置

上図のように冷蔵庫をキッチンの入り口付近に配置するのが、使いやすいキッチンの基本的な考え方になります。

例えば、リビングにいる家族が冷蔵庫に飲み物を取りに行く場合、冷蔵庫が手前にあると飲み物がとりやすいですよね。 一方、料理をしている人にとっても料理中にキッチン廻りでウロウロされると気になります。特に包丁を持っていたり、油や熱い料理を作っている時なんかはなおさらです。

キッチンにいる人とキッチンに来る人の動線ができるだけ重ならず混雑しないキッチンをつくる。これが使いやすいキッチンには重要です。

 

◆冷蔵庫をキッチンの奥に配置する

冷蔵庫をキッチンの奥に配置した場合のメリットは、冷蔵庫が奥まった位置にあるので目立ちにくいというメリットがあります。冷蔵庫などの家電製品をあまり目立たせたくない場合に有効な冷蔵庫の配置です。

しかし、冷蔵庫が奥にあるとキッチンの中が混雑することが多くなるのがデメリットになります。

 

◆冷蔵庫置き場をつくる

冷蔵庫の奥行き分、壁を凹ませたキッチン。この場合のメリットは、冷蔵庫の前のスペースが広くなり冷蔵庫に用事がある人が来ても、料理をする人が邪魔に感じることはほとんどありません。また、食器棚と奥行が合うのでスッキリと見えます。間取り上、可能であればおすすめの冷蔵庫の配置です。

 

◆冷蔵庫を隠してしまう

冷蔵庫がリビングダイニングから見えないよう隠してしまうキッチンの間取り。家電製品などを全く見せたくない方におすすめです。ちなみに、このような冷蔵庫の置き方をする方は、食器棚の上にも家電を置かずにスッキリさせるという徹底したこだわりを持っている方が多いです。

勝手口やパントリーも一緒につくってあげると、より使い勝手が向上します。

 

また上の図面のように冷蔵庫を隠す方法以外に、引戸をつけて冷蔵庫と食器棚をかくしてしまうという方法もあります

この方法もスッキリしますが、冷蔵庫と食器棚を収納するには奥行が必要となり、意外に場所をとってしまうので注意が必要です。
さらに冷蔵庫や家電の熱を排出するための換気扇も必要となってきます。

冷蔵庫の開き勝手

家ができてから新しく冷蔵庫を買う場合は、家に合わせた冷蔵庫を購入すればいいですが、今使っている冷蔵庫を新居にそのまま使う場合は、冷蔵庫の開き勝手に注意が必要です。冷蔵庫の開く方向に棚などがないか通路になっていないか、確認が必要です。両開きの冷蔵庫を配置する場合は、両サイドにゆとりがないと完全に開かないこともありますのでこちらも注意が必要です。

使いやすいキッチンにするための食器棚の配置

キッチン内の動線を考えた配置

食器棚の配置を考える際もキッチン内の一連の動作を考える必要があります。食器棚を利用するのは

①作った料理を配膳する際
②洗った食器を片付ける際

の2回になります。①の場合はコンロや調理台に近い方がよく、②の場合はシンクに近い方が便利です。可能なのであればシンクとコンロの間に配置して、どちらにも対応できるようにすると便利です。

食器棚を配置する際の注意点

・シンクとコンロとは近すぎず、遠すぎない位置にすること
・食器棚の配置だけではなく、冷蔵庫の配置と一緒に考えること
・冷蔵庫と食器棚の配置で迷ったら、まずは冷蔵庫の配置を先に考えること

食器棚と冷蔵庫を比べると冷蔵庫の方が開け閉めが多く、ドアの開き方によって置く位置に制限もでてきます。その点でも冷蔵庫の配置と一緒に考えることが重要です。

使いやすいキッチンにするための収納術

使いやすいキッチンにするための収納のコツは、キッチンを使っている時に最も便利になるようにすることです。収納のコツはまとめると以下の5点になります。

・よく利用するモノは目から腰の高さの範囲におく
・使うモノと使う場所を位置付けて配置する
・配置を決めたらしっかりと守る
・調理台にはモノを置かずに広々と使う
・収納スペースの中も使いやすく整理する

まとめ

キッチンは毎日使う場所だけに、使いやすさに妥協したくないところです。キッチン全体で使いやすくするには、キッチンの中の動き全体とキッチンの中にあるモノ全体で考える必要があります。