長期優良住宅

『長期優良住宅』について皆さんはどこまでご存知でしょうか。
税金や住宅ローン・補助金といった内容については、TVや雑誌などでよく紹介されていますが、
本当に『長期優良住宅』が目指すところは、意外と知られていないのではないでしょうか。
今、世界的に自然環境問題が深刻に取りざたされている中、日本と欧米の住宅事情の
違いなどを知ることで、これからの日本が目指して行く住宅づくり『長期優良住宅』について
考えていきたいと思います。

欧米と日本の住宅事情の違い

欧米と日本の住宅事情の違い

日本では新築住宅が主流となっていますが、実は欧米では中古住宅の流通が盛んです。
中古住宅を購入して定期的に手入れし、管理することが一般的なのです。
また、映画やテレビなどでも拝見することがあると思いますが、欧米では自分で住宅のメンテナンスをすることが多く、庭のデッキやキッチンなど住宅の仕様をグレードアップさせることによって、様々な付加価値をつけていきます。
そうすることによって、数年たっても価値が落ちず販売する際のプラス要因となります。
同じ間取りの同じ広さの家でも、10年くらい経過するとお手入れ次第で、値段が大幅に変わってくるほどです。そのような住宅というのは需要も多くライフスタイルの変化に応じてメンテナンスが程良くおこなわれる為、自然に住宅の寿命が延びてくるのです。

では日本と欧米ではどのくらい住宅寿命が違うのでしょうか。


寿命が短い日本の住宅

皆さん、日本住宅の寿命についてお気づきでしょうか?
『日本約30年』に比べて『アメリカ約55年』『イギリス約77年』というようにアメリカやイギリスの住宅寿命は、日本の2倍以上なんです。
どうしてこのような違いがあるのでしょうか。
日本は『もったいない』という言葉を世界に広めたほど、物を大切にする傾向があり、先祖代々受け継がれたものから、日常的に使用するものまで、大切に長く使用しているのにも関わらず、なぜ住宅だけ寿命が短くなっているのでしょう。
住宅の寿命が短くなるということは、住宅の建て替えが多くなり、住宅のデザインが建てた当時の流行に左右される為、ちぐはぐな街並みを作り出すことになります。また、建て替えに伴って大量のゴミが排出され、地球に優しくありません。
この様なことから比較していくとアメリカやイギリスなどの欧米諸国の住宅に対するあり方と、日本の住宅に対するあり方というのは、国民性、習慣性に大きな違いがあるからかもしれません。


どうしてアメリカやイギリスの住宅は長持ちするのでしょうか?

日本国民の住宅に対する志向

まず『住宅を購入するとしたら、新築か中古か?』というアンケートをとってみると80%以上の人が『新築が良い』というような結果が出ています。
新築が良いという答えの中には
●間取りやデザインが自由に選べるから・・・・41.9%
●すべてが新しく気持ちがいいから・・・・34.4%
●中古住宅は耐震性や断熱性など住宅の品質に不安がある・・・・10.6%
などの理由から既存の住宅を長持ちさせることよりも、新築住宅を建設・購入することが求められてきました。その他にも日本人には代々親から子供へと住宅が移行する時に、既存の住宅をリフォームすることより新しく創りかえることが多くなっているため従来ならまだ住むことのできる住宅も取り壊していますので日本の住宅は平均的に短くなっているのです。


アメリカ国民の住宅に対する志向

アメリカ国民の住宅に対する志向

アメリカの住宅流通市場は
●新築着工物件・・・・約27%
●中古住宅・・・・約73%
というように、約3倍近く中古物件市場が新築物件市場を上回っています。
その理由の1つとしては、アメリカでは住宅の資産価値が一般的に高いため、販売する時に有利であることがあげられます。
そしてそのために、自分たちも手を加え、住みやすい住宅に手を加えたり、性能を上げることによって、引っ越しをする際には少しでも販売価格を高く設定することができるのです。
もちろんそこにはアメリカ人の住宅に関する考え方があり、ライフスタイルに応じてキッチンやバス・インテリアに至るまで住宅の仕様を上げていくことが挙げられます。
そうすることによって、より住みやすく、住宅の性能もアップしているので、引っ越しをする際には多少なりと住宅の販売価格を購入したときよりも高く設定することができるのです。


イギリス国民の住宅に対する志向

イギリス国民の住宅に対する志向

イギリスの住宅流通市場は
●新築着工物件・・・・約10%
●中古住宅・・・・約90%
というように、住宅市場の9割を中古物件が占めています。
その理由は、3世代にわたって、孫の代まで家を住み継ぐというのが一般的なので、イギリスの住宅の寿命は日本やアメリカよりも長く、平均77年といわれています。
イギリスの住宅寿命が長いように、欧米の住宅は耐久性とデザイン性に優れた『長持ちする住宅』であることが当たり前です。テレビなどで、ヨーロッパの風景を見ると、『素敵だな』と思う方も多いのではないでしょうか。
そこには統一感のある調和された街並みが続いているからです。
それと同じように日本にも京都や奈良のような調和された街並みが素敵だと感じる方も多いでしょう。
この様に住宅の寿命が長くなることで、調和された街並みを保つことができ、建て替えによって排出されるゴミを減らすことも可能になってくるのではないでしょうか?


住宅価格の違い

上記のように単純に比較しただけでも大きな差がありますが、平均価格を耐用年数で割ると、日本が年間83万円、アメリカが年間37万円と、日本と欧米を比べると倍以上の開きが出てきます。
しかも、日本の住宅は購入価格が高いにもかかわらず、約20年後にはほとんど資産価値がなくなり、住宅ローンが終わる30〜35年後には産業廃棄物化しています。
それに対して、アメリカの住宅は約20年後には購入当時17万ドルくらいの住宅が、売却時には20万ドル・30万ドルを超えている場合もあります。
その理由としましては、住宅のもともとの資産価値評価が高いことや、アメリカ人の場合、売却前に今まで住んでいた住宅のキッチンや部屋をリノベーションして、アップグレードする事によって、高く売却できるようにしていることがあげられます。
このようにアメリカと日本では、住宅に対する考え方や価値観の違いによって、住宅の価値に大きな差が出てくるのです。


これから求められる住宅市場とは 時代の流れや社会の経済情勢

日本では生活水準の向上によって生活様式は大きく変化し、空調や給湯などの設備や、ドア・サッシなどの建具、建材は大きく進化しました。
また、豊かでゆとりある生活へのニーズから居住面積が時代と共に拡大してきたことや、世帯人数の変化や子供の成長といったライフステージの変化に応じて、広さの確保や間取りの変更といったニーズが発生し、それらに対応する必要も生じました。
このため、こうしたニーズに対応できない住宅は取り壊し、ニーズにあった住宅を新築することにより、変化に対応してきました。
しかし、今後は人口・世帯数などが減少していくことが予想され、これまでの成長型社会のような都市への人口集中や地価の上昇などを前提として、住宅を考えることは難しくなり、まだ使える住宅が取り壊されてしまうことは、減少していくと考えられます。ですから、これからは利用価値のある住宅を長く使っていくことが求められるような市場に変化していくものと考えられます。
また、投資した資本・資源が長持ちせず、早々に解体・除去され、ゴミになったのでは、経済的観点からみても、地球環境の観点からも、持続可能な社会は形成できません。
このように、住宅の長寿命化への取り組みを進めることは成熟社会において大変重要であるといえます。

時代の流れや社会の経済情勢


『作っては壊す』から『長持ちさせる』時代へ・・・

『作っては壊す』から『長持ちさせる』時代へ・・・

現在、日本では取り壊される住宅の平均寿命は30年となっており、『作っては壊す』というサイクルを繰り返してきました。
その上、住宅市場の全体に占める中古住宅の流通は、欧米諸国に比べると格段に低くなっています。
このような日本市場から、なぜ『長持ちさせること』が求められてきているのでしょう・・・。
それは少子高齢化が急速に進んでいることや、環境問題が深刻になってきている現状などがあります。
そこで住宅の『質』というものの向上が求められ『質』の向上を図る事によって、良い住宅を将来世代へ受け継ぐことができ、長期にわたって、住生活の安定や向上を図ることができるようになるのです。

そして住宅を長持ちさせることによって、次のようなメリットも考えられます。

メリット1

住宅の解体や除去に関わる産業廃棄物の排出を減らすことができ、環境への負荷を抑えることができる。それにより、建て替え時にかかる費用を節約でき、より豊かでより優しい暮らしへ変わるのではないでしょうか。
さらに作ったものを世代を超えて長持ちさせて大切に使うことによって、資源を有効利用することや、地球温暖化防止になります。

メリット2

住宅の建て替えを減らし、費用を減り、その分最新の設備やリフォーム等による生活の質を上げることはもちろん、経済的なゆとりや豊かさを実現できる社会になります。
・・・例えば、現在の4倍程度長期的に住宅を使用した場合は、住宅建築・取得・維持保全に必要な費用を全体の2/3に減らすことが可能になってきます。

メリット3

現在、土地と建物の価値としては、土地のほうに傾いていて、住宅資産の割合は1割にも満たない状況ですが、アメリカでは、3割を占めています。
ですが今後長期的な住宅を建築することによって、適切に維持保全を行うことによって住宅の資産価値が維持され資産の割合が向上します。

このように『質』を向上することによって、住宅を長持ちさせることは、住生活の安定や向上だけではなく、地球環境の保護や家計にまでエコな住宅にすることが可能になってきます。そして、次の世代へと受け継ぐ際には、土地だけの資産ではなく、建物も資産の1つとして残すことができるのです。

では『質』の高い住宅にするためにはどのようにすればいいのでしょう。


質の高い住宅とは

『質』の高い住宅とは、長く安心して住まうことのできる住宅にするために以下ような点に注意した住宅のことです。

質の高い住宅とは



このように住宅の『質』を向上するためには、さまざまな面で住宅のレベルアップをすることが大切です。
そうすることによって、長期的な視野に立った場合でも安心安全な住宅に住むことができ、将来ライフサイクルが変化した際でも、リフォームが容易になるでしょう。
また、メンテナンス等の管理をしっかりと行うことで、次世代に継ぐときや、中古住宅として販売する時の資産価値の向上になります。
住宅や居住環境の『質』の向上をすることは、環境問題の深刻化などの経済情勢の変化に伴い求められるようになりました。
その他にも、住宅だけではなく居住環境も含む住生活全体の『質』の向上をし、良質なものを次の世代へと継ぐための政策に変え、住宅は人々の仕事や生活の基盤で、長期的に住生活の安定や向上を実現する為には不可欠なものです。

そこで、『質』の良い住宅を造り、長期的に使用することを促進することは重要な課題となっています。


長期優良住宅とは

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